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×雑記:フジvsライブドア 2月騒動まとめ

発端:フジサンケイグループのねじれた株式構造

フジサンケイグループの盟主はフジテレビであることは疑いようのない事実だが、実際そのフジテレビの大株主はフジテレビよりもはるかに規模の劣るニッポン放送だ。これは、同時期に話題となった西武グループのコクドと西武鉄道の関係にとてもよく似ている。両者に共通することは、創始者一族が会社そのものが巨大化してもなお強大な影響力をグループ全体にわたって維持するために、フジテレビや西武鉄道といった大企業の株式をそれよりも小さい企業であるニッポン放送やコクドに多く所有させ、その小さな企業の株を一族が保有することで間接的に支配を図ろうとしたことだ。これが結果的にライブドアに付け込まれる原因となった。
“世界のソニー”の社長に外国人が就任するこの時代に、世襲経営なんてものはもはや流行らない。フジサンケイグループも、創始者一族である鹿内家が現フジテレビ会長の日枝氏らのクーデターによってその座を追われ、結局保有していたフジテレビ株のほとんどを失ったし、西武の堤氏も元会長、そして被告となってしまった。

今回の一連の騒動の発端は、この歪んだねじれ構造を是正するためにフジが行っていたTOB(公開買い付け)の隙を突いて、年間売り上げではフジの数十分の一でしかないライブドアがあわよくば四大メディアの一角を乗っ取ろうとしたことから始まる。堀江氏はテレビ出演のたびに「友好的な業務提携を行いたい」「テレビとネットの融合」などと言っていたが、それであれば敵対的M&Aをわざわざ仕掛ける意味がない。その目的がフジの支配だったことは確実だろう。
今回の雑記では、ライブドアの仕掛けたM&Aが果たしてよかったのか悪かったのかという問題はひとまず置いておくとして、時系列を追って“2月騒動”の流れを見ていくことで、このマネーゲームの勝者が一体誰だったのか、そして敗者は誰だったのかということを考えたいと思う。

2005年2月8日
ライブドアがニッポン放送株の35%を時間外取引で取得したと発表
800億円分のMSCB(転換社債型新株予約権付社債)を外資系投資ファンドのリーマンブラザーズ(以下LB)に発行することで資金調達
同時に堀江氏が持つライブドア株式のうち4672万株をLBに貸付

・ニッポン放送株買い付け
ライブドアの具体的な買い付け価格は1株約6050~6100円
フジ&大和證券SMBCのTOB(公開買い付け)価格は5950円

ライブドアがLBと結んだ投資契約は、転換社債型新株予約権付社債という聞きなれないもの。これは株式と社債の中間点のようなもので、その時々の情勢を見て株式に転換もできるし、お金で返してもらうこともできる。LBが結んだ契約内容では、LBはCBを株式に転換する際、株価の90%で転換することができるようになっている(株価が400円なら360円)。これにより、LBはライブドアの株価が下がれば下がるほどたくさんの株式を入手でき、大きな利鞘を得ることができるようになる。またLBは同時に堀江社長が持つライブドア株の一部を借り受けて運用できる契約も結んでいたので、それを市場に大量投入することで自由に株価を下げることもできる立場だった。

この時点でのニッポン放送株所有比率:
ライブドア35%⇔フジテレビ12.3%
村上ファンド:18%
備考:ニッポン放送は横浜ベイスターズ株を30.8%、フジテレビはヤクルトスワローズ株を20%保有

ライブドアの株価:455円

2月10日
LBが堀江社長から借りていたライブドア株式のうち890万株を売却

早速LBが株価操作に走る。これは堀江氏から借り受けた分のようだ。この後しばらく両者がニッポン放送株の買い付けを進める。

2月14日
ライブドアの株価:411円

2月17日
ライブドアの株価:356円

2月23日
ニッポン放送がフジテレビに対する新株予約権を行使
ニッポン放送発行済み株式3280万株に対し、4720万株を総額158億円でフジテレビに対して発行
これによりフジテレビによるニッポン放送の完全子会社化を目論む
申し込み日は3月23日、払い込み期日は24日
TOB価格の5950円をベースとして、総額2808億円
通称“ポイズンピル”

ポイズンピルとは敵対的M&Aを仕掛けられたときに、仕掛けられた側の企業が大量の新株を有利な第三者に対して発行することで、買収者の所有する株式比率を相対的に下げ買収を防ぐ手法。
“毒薬”の名が示す通り、M&Aに対抗するためのジョーカーのようなカードであり、あまりいい対抗策とは言い難い。特に一般株主の利益を著しく損ねるため、会社の信用を大きく失墜させる可能性がある。一般株主へのケアが大事。

2月24日
LBによる800億円分のCBの払い込みが完了
ライブドアがニッポン放送の新株予約権の発行差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立て

3月8日
フジテレビのニッポン放送TOBが成功
フジのニッポン放送株保有比率が36.47%となり、拒否権を行使できるようになる
また、25%を超過したことでニッポン放送が持つフジテレビへの議決権が消滅

この時点でのニッポン放送株の所有比率:
ライブドア約45%⇔フジテレビ約36%
村上ファンド3.44%

発行済み株式の8割を大きく超えたため、最低でも1年以内にはニッポン放送の上場が廃止されることが確実となる
ライブドアの株価:315円

この時点で村上ファンドが大きく売り抜けているのがわかる。
株式保有上位10社の合計持ち株比率が80%を確実に超えたため、一年以内のニッポン放送の上場廃止がほぼ確実となった。

3月11日
東京地裁は、ライブドアが差し止めを求めていたニッポン放送の新株予約権の発行を差し止める仮処分を決定
ニッポン放送が上告

3月15日
ニッポン放送の亀渕社長が、もし同社がライブドア傘下となった場合、同放送の子会社であるポニーキャニオンの株式(56%保有)をフジテレビに売却することを示唆
焦土作戦、クラウンジュエルなどの用語が飛び交う

クラウンジュエルとはその企業が持つ“王冠の宝玉”、つまり最も価値のある企業商品のこと。ここではニッポン放送の子会社であるポニーキャニオンにあたる。ポニーキャニオンはDVDなどの販売で実績を上げている会社だが、その供給元はほとんどがフジテレビ。よってフジからライブドアに渡った場合、企業価値が著しく失われると考えられるため、その前にフジ本体に移してしまおうという算段。

3月16日
ライブドアの有するニッポン放送株が議決権ベースで50%を超える
フジテレビの持つ40%近い株式は実質無意味になる
ライブドアがLBO(レバレッジドバイアウト)と呼ばれる手法を使って3000億円の資金を調達することを検討しているという噂が流れる

LBOとは投資の手法の一つで、投資資金によって買収する予定の企業が生み出す利益を当てにして、小さな企業でも莫大な資金を借り受けることができるというなんともおいしい話。だが当然条件は厳しく、1:買収が確実に成功する 2:買収した企業が返済能力を十分に持っている の2つの条件がクリアしていなければ成立しない。

・この時点での世間一般の予測
ライブドアがLBOによって3000億円の資金を調達、それによってニッポン放送が持つ22.5%のフジテレビ株をさらに買い増し、25%、
33%、50%まで持っていこうとする
同時にニッポン放送株を増資し、36%前後というフジテレビの保有比率を25%以下まで引き下げ、フジテレビの支配力を弱める
ニッポン放送株:ライブドア50%以上⇔フジテレビ25%以下
フジテレビ株:ライブドア25%以上
ならばライブドアはフジテレビに対して議決権を持つことができる
さらにフジテレビ株の保有率が50%を超えると、ライブドアがフジテレビを子会社化することができる

堀江氏はこれらの予測を「妄想だ」と切って捨てる

備考:フジテレビの発行済み株式時価総額は約7000(±1000)億円
フジテレビ株の上位10社の保有比率を合わせると46.19%
ライブドアの株価:341円

3月11~17日
リーマンブラザーズが、ライブドアが発行したCBの400億円分を転換、売却
(400/800)

3月18日
リーマンブラザーズが、ライブドアが発行したCBの150億円分を株式に転換
(550/800)

3月19日
フジテレビが、ライブドアによるフジテレビ株買収への対抗策として、1000億円規模の第三者割当増資を検討(ポイズンピル2)
株式配当金を増やすなどして一般株主へのケアを図る


3月23日
東京高裁がニッポン放送の新株予約権の発行を認めない仮処分決定を下す

3月24日
ソフトバンクインベストメント(SBI)、フジテレビ、ニッポン放送の3社が、ニッポン放送が所有するフジテレビ株の13.88%を2004年3月24日から2010年4月1日までSBIが借り受けることを合意
これによりSBIがフジテレビの筆頭株主となる
通称“ホワイトナイト”

ホワイトナイトとは、M&Aを仕掛けられた企業が、M&Aを仕掛けた企業と競合している比較的友好的な第三者企業に自社株を預けることでM&Aを妨害する手法。これもポイズンピルと同じく身を切る手法なので、ジョーカー的な意味合いが強い。今回の場合だと、ライブドアと同業種の競合企業野中でも最大手のソフトバンク系列企業がホワイトナイトとなった(両社は前もって準備していたことと否定しているが)。SBとSBIは実質グループ内企業のようなもの。
SBI代表である北尾氏は元野村證券で活躍した人だったらしく、
「M&Aでは国内に私の右に出る人はいない」と豪語する程プロ。
敵対的M&Aを否定的に評した。

3月25日
リーマンブラザーズが、ライブドアが発行したCBの110億円分を株式に転換
(660/800)

3月27日
フジ、ライブドア双方が、「ニッポン放送を含めた今後の関係について協議を行っている」とする文書を発表

3月28日
ライブドアが、ニッポン放送の発行済み株式の過半数を取得

3月30日
ライブドア側が、フジテレビに対して「休戦」を提案
フジテレビ株の買収を進めない代わりにニッポン放送の焦土作戦をやめる条件

3月31日・4月1日
リーマンブラザーズが、保有するライブドア株1700万株を売却

経過報告
水面下でライブドアとフジテレビの摺り合わせが続く

4月15日
リーマンブラザーズが、ライブドアが発行したCBの残り全てを株式に転換
(800/800)
結果、ライブドアの発行済み株式は2億6894万株増え、9億1532万株となる

4月18日 X-Day
フジテレビとライブドアが和解

和解の基本骨子
・フジテレビはライブドアが保有するニッポン放送株を一律6300円で買い取る。その内訳は
 ニッポン放送株の32.40%を保有するライブドアパートナーズを
 約670億円で買収
 ライブドア本社が持つニッポン放送株17.6%を約360億円で買取
備考:ライブドアがニッポン放送株を取得した時の平均額は6286円
・フジテレビはライブドアの第三者割当増資を引き受け、ライブドア株の14.61%にあたる1億330万株あまりを約440億円で買い取る
⇒結果、フジテレビはライブドアに対して1470億円余りを支払うことになる

・ニッポン放送はフジテレビの完全子会社化され、上場廃止となる

・ライブドアは結果1470億円余りの無償資金を得る
・リーマンブラザーズに発行したCB全てが株式に転換されたため、発行済み株式が42%増加、株価はCB発行時と比較し25%近く下落
 発行済み株式:約6億5000万株(2/8)⇒約8億6000万株(4/20)
 株式時価総額:約3000億円(2/8)⇒約2800億円(4/20)
 株価:455円(2/8)⇒330円(4/20)
発行済み株式は今後、リーマンブラザーズが転換した分とフジテレビに対して発行される分によってさらに増加すると考えられる(最終的には10億株以上に)
・フジテレビと友好的業務提携

・SBIはニッポン放送から借り受けていたフジテレビ株を全て返却
・フジテレビ、ニッポン放送と共同出資(SBI20億・フジ180億)した投資ファンドを設立

・リーマンブラザーズはライブドアに貸し付けた800億円分のCBと堀江社長から借り受けた同社株を運用し、最終的に150億近い利益を得たと見られる

・村上ファンドは2月8日当初保有していた18%のニッポン放送株を売り抜け、100億近い利益を得たと見られる

今回の決着を主導したのは大和証券SMBCと見られる。当初のニッポン放送株のTOBを事実上失敗し、証券会社として失態を演じたため名誉挽回を図ったというところだろうか。堀江氏はまだまだ戦えると思っていたらしいが、No.2の勧めで合意に応じたようだ。
まず勝利者として真っ先に上げられるのはLBだろう。自社に有利な契約を結び、株式を上手く運用することで、およそ150億円近い利益をわずか2ヶ月余りで叩き出した。次点でSBI。自社に有利な条件でフジと共同出資の投資ファンドを設立、フジサンケイグループとのつながりを手に入れた。最後にライブドア。やったことは結局言ってみれば4億株近い新規株式を発行して資金を得たということとほぼ変わりない。株式時価総額も騒動前後でほぼ変化していない。マスコミに頻出することで名前を売れたことと、一応フジテレビと業務提携を結べたことがよかったことだろうか。
それでは、その利益を損失という形で補ったのは一体誰なのか?
まず間違いないのはライブドアの株主。それまで450円ほどだった株価が350円以下に低下、大量増刷で価値が目減りした。株式投資家ならば「見誤った自分が悪い」で納得できるが、ライブドアを支援するために株式を持ち続けたような株主に対しては堀江氏は非常に不利益を与えたことになる。これは反省すべきだろう。
次にフジテレビ。もともとフジはニッポン放送を子会社化するための費用としておよそ1700億円を見込んでいた。それが、ライブドアへの440億円の費用も含めると、最終的に2500億円ほどにまで膨れ上がったわけだから、当然その差額分はフジ側の損となる。
そしてニッポン放送。今回の結果完全にフジテレビの子会社化され(いいことか悪いことかはわからないが)、当然上場は廃止。

・まとめ
今回の一連の騒動での得々ランキング
1位:リーマンブラザーズ
2位:ソフトバンク・インベストメント
3位:ライブドア
4位:ニッポン放送
5位:ライブドア一般株主
6位:フジテレビ
2位と3位、4位と5位以下の間に越えられない高い壁があるが。

※また加筆修正するかも
※間違った記述があれば指摘していただけると幸い
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ライブドア堀江社長の記者会見
ライブドアの堀江社長が、「インターネットと既存の放送事業と一日も早く融合させ新たな事業を展開しなければ、既存の放送事業はあっという間に遅れた存在になり、誰も見なくなってしまう。現在の経営者に任せていたら時代に遅れてしまう。」というようなことを、外国特派員 1喝たぬき[2005/06/03 17:50]
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