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×沖縄での米兵による少女暴行事件について

ここ最近メディアを騒がせている沖縄在留米兵(しかも軍曹)による中学生少女の暴行事件だが、その報道のされ方やコメンテーターと呼ばれる人たちの問題認識について個人的にかなり違和感があるので、その中身をここでまとめてみたいと思う。

まず事件のあらましについてだが、日経の記事が取りあえず中立的にまとまっているのでそちらを引用すると、

同署によると、ハドナット容疑者は同8時半ごろ、沖縄市の繁華街で、アイスクリーム店から出てきた3人連れの少女たちに声を掛け、5分ほど会話した。うち1人の少女が自宅へ送ってもらえると思いバイクに同乗したが、基地外の容疑者宅へ連れて行かれ、キスやわいせつな行為を迫られた。

 怖くなって泣きだした少女を、ハドナット容疑者は「家に送ってあげる」と車で連れ出した後、車内で暴行したという。

また、読売の記事では、

調べによると、ハドナット容疑者は10日午後10時半過ぎ、同県北谷町北前の海岸部にある公園付近の路上に止めた車内で、沖縄本島中部地区に住む女子中学生に乱暴した疑い。

「キスをしたり、抱きついたりしたが、乱暴はしていない」と容疑を否認している。

ハドナット容疑者は同日午後8時半ごろ、同地区の市街地を友人と3人で歩いていた女子中学生に「(家まで)送ってあげる」と声をかけ、オートバイに乗せた。同県北中城村の自宅へ連れて行って乗用車に乗り換えたが、女子中学生の家には向かわず、北谷町へ行ったという。

 女子中学生の友人が、「外国人のオートバイに乗って行った友達の携帯電話に連絡したら、助けを求められた」と通報。現場近くをパトカーで巡回していた警察官が急行、歩いていたところを保護した。

となっている。時系列でまとめると、以下のような流れ。

20:30 繁華街でアイスクリーム店から出てきた3人連れの女子中学生が米兵にナンパされる
20:35 5分ほど会話したのち、3人のうち1人が「家まで送ってあげる」と言われバイクに同乗
?:? 米兵宅へバイクで移動、到着後キスを迫られる
?:? 乗用車に乗り換え北谷町へ
22:30 北谷町の公園付近の路上に車を止め、暴行される(米兵は乱暴はしていないと一部否認)
?:? 残された友人の一人が女子中学生の携帯に電話、助けを求められたので警察に通報


この事件を受けての各所の反応は、おおむね2つに分かれる。
ひとつは、1995年に起きた沖縄米兵少女暴行事件を引き合いに出し、なぜ米兵による少女暴行事件が再発してしまったのか、13年前の教訓は全く生かされていないのか、といった論調で、米兵による強姦事件そのものに対して強い憤りを表わすもの。一部では米軍基地は沖縄から出て行け、という過激な主張の人たちもいる。
もうひとつは、この事件により在日米軍全体に対する非難が高まることで、丁度キーポイントを迎えている普天間基地の移設問題に影響するのではないか、という論調で、米軍再編計画にまで大きな影響を及ぼすことを危惧、あるいは積極的に煽るものだ。
ワイドショーなどのコメンテーターの論調としては、主に前者のほうが多かったような印象で、朝ズバのみのもんたあたりは『問題を起こした基地は閉鎖するくらいの厳しさが必要』といつものように勇ましい。

が、ここで僕が強く違和感を感じたのは、沖縄の住民はじめテレビや新聞などのメディアの人間たちは、“強姦”事件に対して憤っているのか、“米兵の起こした”事件に憤っているのかという部分だ。というのも、どうも各所の反応や論調を見ていると、米兵がやったから超凶悪犯罪だ、というような空気を感じて仕方がないのだ。
確かに、13年前の少女暴行事件は米兵という部分を全く抜きにしてもひどい事件だった。被害者は12歳の小学生、大の大人3人がかりで有無を言わせず車で拉致し、粘着テープで顔を覆い手足を縛った上で集団強姦したのだから、強姦事件の中でも特にひどい部類に入る、まさに凶悪犯罪としか言いようがない。
が、今回の事件に関して言えば、こういう言い方をすると語弊があるかもしれないが、沖縄で年間80件近く発生しているその他の強姦・強制わいせつ事件と悲惨さ、ひどさという意味ではそれほど変わらないレベルのものであると(今のところは)思える。しかし、それら80件の事件が今回のように大きく取り上げられ騒がれたかといえばそうではなかったわけで、だとすると今回の事件がこれほどに騒がれるのは、やはり“米兵が起こした”暴行事件だから、と考える他ないのだ。

人間が1万人も集まれば、その中にこういう事件を起こす素養のある人間は必ず1人か2人は紛れこむ。これはどうしようもないことだ。であるならば、いくら米軍側に再発防止を徹底させたとしても、完全に0にすることは不可能である。1995年の事件以降、米軍側も再発防止には相当神経をとがらせていると見えて、13年間で強姦事件は8件、強盗事件と合わせた凶悪事件で32件という検挙数となっている。これは、軍人軍属合わせて23000人ほどいる在沖縄米兵数から考えると(さらにその多くが気性の荒い海兵隊員であると考えると)かなり抑えられた数字であることがわかる。
しかし、前述のように人間がたくさん集まればこういう事件が起こってしまうことは防ぎようがない。完全に0にしたいと思うなら、外出中の米兵には四六時中監視をつけて問題行動を起こさせないようにするか、それこそみのもんたの言うように問題を起こしたら基地閉鎖、起こした人間は死刑、というくらいに懲罰を強くするか、究極的には基地そのものを沖縄の市街から完全に隔離して米兵を町に一歩も出さないようにするかしかない。

しかし、現実的に考えるなら、「四六時中の監視」や「問題を起こしたら基地閉鎖」などは不可能であるのは明白なので、となると「基地を一般市民から完全に隔離して米兵の生活も買い物も全て基地内で完結させる」というのが、米兵による犯罪を完全に消滅させる(実現可能な)考えうる手段であるように思える。基地を移転させることや日米安保を見直して在日米軍を全て退出させることに比べれば、こちらのほうが幾分実現させやすく、効果的であるようにも見える。
しかし、これを行うとどういうことになるか、というのは、少し想像を働かせれば容易に理解できる。例えば在沖縄軍人1人が1年間で基地外で100万円使うとすると、軍人23000人いれば1年間で230億円の経済効果が生まれていることになる。もし仮に米兵の外出を一切禁止にすると、この230億円が0となり、かなりの数の人が生活に窮することになるだろう。現在6%を超える失業率の沖縄において、これがどれくらい手痛いかは想像に易い。
また、さらにそれを発展させて沖縄から基地を一掃しよう、となると、沖縄が被る経済的損失はさらに大きくなる。というのも、米軍基地を受け入れている市町村は何もボランティアで受け入れているわけではなく、米軍基地があることによる雇用の創出、米兵が使うお金がもたらす経済効果、そして基地を受け入れることで得られる様々な補助金との引き換えであるからだ。

結論としてまとめると、今回の事件は沖縄で年間80件ほど起こっている強姦・強制わいせつ事件のひとつとして捉え、粛々と処理すべきだと僕は思う。重要なのは、かつてのように事件を起こした米兵が基地内に逃げ帰ると日本の警察が手出しできない、というような異常な状況が起こらないようにするということで、事件を起こした犯人がきっちりと日本の捜査機関に引き渡され、国内法によって処罰されるのであれば、その他の事件と同様に特に大きく騒ぎ立てる必要はないと考える。
もしみのもんたの言うように、米兵による強姦事件が年間1件以下の発生率さえ認められないというのであれば、大きな経済損失を受けることを覚悟の上で、基地を完全に一般市民から隔離した環境下に置くか、憲法9条の改正も含めて日米安保を大幅に見直すような国民的議論を巻き起こして、沖縄から米軍基地を完全に締め出すということしか解決する手段はない。なぜなら、如何に現状で可能な範囲で米軍側が再発防止を徹底したとしても、夜8時以降の外出が自由となっているような環境下では、完全にこのような事件の発生を根絶することは不可能だからだ。

この問題がこれほど複雑な様相を呈しているのは、米軍の存在によって完全にデメリットしかこうむっていない人たちと、米軍の存在によって多少のデメリットはあるが、それ以上のメリットを受けている人の2種類が沖縄に存在しているからである。基地はいらない、と主張する人たちは当然前者なのだが、そう主張することによって同じ沖縄に住む人間である後者の人たちの生活を大きく脅かす可能性がある、ということについて無頓着なようにも見える。
また、沖縄の人も、あるいはメディア側も、米兵という部分に対して非常にナーバスになり、過剰に反応しすぎている感が否めない。日本人、アメリカ人に関わらず、沖縄では毎年数十件の同様の事件が発生し、それほど大きく取り扱われることもないまま流されている、という状況を、今一度考えてみてもらいたい。

重要なのは、犯罪の発生を完全に根絶することではなく、発生をなるべく抑える努力をしながら、発生した時に公正に粛々と処理、処分することである。
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