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×雑記:女性天皇問題2

少し前の10月25日に首相の私的諮問機関である「皇室典範有識者会議」において、女性・女系天皇を認めるよう皇位継承資格を拡大することを全会一致で決定した。しかし、この決定を受けて女性天皇を是認する見方が広がる中で、各所でそれに反発する意見も多く見かけるようになった。
うちのブログでも結構前にこの女性天皇問題についての雑記をまとめたことがあったが、この機会にもう一度問題点を整理し、自分なりの結論を再確認しておきたいと思う。
さて、この問題を再び論じるにあたって、以下の4つの問題点についてまとめておこう。

・女性天皇と女系天皇の違い
・皇位と王位の違い
・皇統断絶を回避する方法
・何がどう変わるのか

・女性天皇と女系天皇の違い
まず女性天皇と女系天皇の違いだが、これはかなり簡単だ。女性天皇とは言葉通り女性の天皇全てを指し、女系天皇とは男女に関わらず女性皇族を母に持つことを根拠として即位した天皇を指す。つまりは、男性の天皇の女児が皇位を継いだ場合は男系女性天皇で、女性天皇の女児が皇位を継いだ場合は女系女性天皇となる。
なので、仮に今の皇太子の嫡子である愛子さんが、皇太子が即位したのち女性天皇として皇位を継承すれば「男系」女性天皇となり、そのあとさらに民間から配偶者を得て女児を出産し、その子が皇位を継げばその子は「女系」女性天皇となる、というわけだ。
過去に「男系女性天皇」は何人も存在したことや、それがピンチヒッター的な役割を持っていたことは以前の雑記で述べたとおりだが、明治期に作られた旧皇室典範において「天皇は男系男子のみに限る」という制約が盛り込まれ、その文言が現在まで残っているおかげで、今ではその「ピンチヒッター的な男系女性天皇」も認められるかどうかは怪しい。

・皇位と王位の違い
天皇の特異性を表す例として、よく「天皇は現存する世界で唯一の皇帝である」ということが挙げられる。確かに、国際的な儀礼上天皇はローマ法王と唯一対等以上に扱われる「皇帝」であるが、では皇帝と王族の違いとは一体なんなのだろうか。
世界史的な意味合いでは、王位とは単一民族やある限定された地域を統合した者に与えられる称号であり、皇位とはさらにその王を臣下に治め、複数の民族や広大な地域を支配下に置く地位にある者が戴く称号とされている。つまり、王の中の王が皇帝だというわけだ。
皇帝には神聖ローマ帝国皇帝と秦の始皇帝のそれぞれに端を発する2種類の皇帝があり、それぞれで微妙に意味合いも違う。というのも、各々文化も言語も全く違うのだから、皇帝の意味合いも違ってきて当然なのだが。
では日本の天皇はどうなのかというと、これはもっと単純な話で、聖徳太子が中国の皇帝に使いを送る際、属国ではなく対等の国として付き合いたいのだということを示す為に、自らの国の統治者を「皇帝」と同格のように聞こえる「天皇」と称したのが始まりと言われている。
話を女性天皇問題に戻してみると、女性天皇反対派の意見の中に、『男系のみという伝統が途絶えると国際的に天皇が「皇位」とは認められなくなる』というのがある。天皇がローマ法王と同格以上の「皇帝」であると儀礼上認められているのは「万世一系」の伝統のおかげであり、それをなくすことは「皇位」から「王位」への格下げを意味する、というわけだ。
だがよくよく考えてみると、それもおかしな話だ。まず皇帝の定義が世界中で統一されていないのに、「万世一系こそが天皇を皇帝たらしめている要素である」と誰が決めたのだ?一説には、天皇が英訳された際にEmperor(皇帝)という言葉があてられたのは、単に「皇」の文字を含んでいたからだという説もあるし、そもそも天皇という言葉ができたのは上述の通り、非常に単純な理由からだ。「天皇=皇帝」という国際的な認識は、実はそんな程度の曖昧なものなのだ。

・皇統断絶を回避する方法
女性天皇問題が取りざたされるようになった原因がこの皇統断絶の危機なのはご存知の通りだが、この危機はある意味起こりうるのがわかりきっていた危機だ。なぜなら、「万世一系」という他に例を見ない制約を持つ日本の天皇家が少なくとも1数百年も存続できたのは、天皇家に世継ぎが生まれなかった場合の代役である宮家の存在や、天皇そのものに多数の側室を設けるといった配慮がなされてきたおかげなのだが、そのうち側室制度については完全に撤廃され、宮家についても、GHQの戦後統治によって十一もの数の宮家が臣籍降下(皇族から一般の身分に格下げ)ということになった。これではいずれ皇統断絶の危機がやってくるのは明白で、今回それがたまたま早く来てしまっただけのことなのだ。
さて、この皇統断絶の危機をなんとか避けようとみんな頭を悩ませているわけだが、その結果どうやら2通りの方法しかなさそうだというのがわかってきた。その1つは「皇室典範を改正し、男系男子のみでなく女子や女系の天皇も認めるようにする」というもので、もう1つが「60年前に臣籍降下した旧十一宮家を皇族復帰させる」というものだ。
前者については以前に詳しく説明したから省くとして、後者について少し触れておきたい。
旧十一宮家がもし皇族復帰するとすれば、皇位の継承はどのように行われることになるのだろうか?まず、現在の天皇から皇位を受け継ぐのはもちろん皇太子だ。そしてその次に皇位を受け継ぐのは誰か、と考えると、皇室典範を厳密に受け取れば女性である愛子さんではなく、(存命ならば)秋篠宮親王、そしてその次に復帰した宮家の中で最も年長の男子となる可能性が高い。つまり、今の段階でごく普通の(といっても上流階級だろうが)家庭に生まれ育った人が、今から何十年後かには天皇にされてしまうわけだ。

・何がどう変わるのか
それでは女性・女系天皇を認めた場合、この先どうなるのだろう?
まず皇位継承について考えてみると、今の天皇が崩御し、皇太子が後を継ぎ、さらに崩御すると、皇太子の長女である愛子さんが皇位を継承し、実に2百数十年ぶりに女性天皇が誕生することになる。だがこの段階ではまだ「男系」の伝統は破られておらず、そう物議を醸すこともないだろう。問題はその愛子天皇が配偶者を迎える時だ。
配偶者を民間から迎えた場合、その夫の家も「皇族」として召し上げられることになる。当然毎年宮内庁予算から3000万円が支給されるようになるし、皇族としての活動もしなければならなくなる。つまり、「黒田さん」みたいに普通の仕事を続けるというわけにはいかなくなるだろう。そして生まれた子どもは男子であれ女子であれ、「女系」である。なので、その子どもが成長し、即位することになれば、ここで完全に「万世一系」の伝統は途絶える。「女系天皇」の誕生だ。一部の女性天皇反対派は、このときに「天皇制廃止運動が起こる」と懸念しているわけだ。


さて、以上のことを踏まえたうえで、僕の考えをまとめておこう。
もともと僕は天皇という存在に対して、そう強い興味を持っているわけではない。別段尊敬しているというわけでもないし、すごい人だとも思っていない。なのにこの問題についてそれなりの時間をかけて調べたり、文章をまとめたりしているのは、単に何かについて考えるのが好きだから、とかその程度の理由だ。そういうわけなので、本当に日本が好きで好きで、伝統が大好きで、天皇家が大好きな人たちの熱弁を参考に読んでいると、なんだかこの程度の興味でこの問題に首を突っ込むのが申し訳なくなるような気さえしてしまう。
その一例が、このIrregular Expression: 熱くなれない皇室典範問題というエントリのコメント欄で白熱した議論を戦わせている人たちだ。かなり長い議論の中には、「女系を認めるようにするなら国号(国の名前)を変えるべきだ(27344他)」とか、「皇室典範改正で女系天皇が可能になったら亡命でもするんですか?(27393)⇒革命しかないでしょう(27397)」とか、「神武天皇以来の血統(27329他多数)云々」など、頭沸騰してるんじゃないかと思えるような意見もちらほら見かけ、挙句の果てには自分に反対する意見の人は「共産党の工作員(27370)」呼ばわりする始末。こういう人たちにとって天皇とは、そして「万世一系」の伝統っていうのは、恐らく何ものにも変え難い大切なものなんだろう。
しかし、多くの一般国民にとっても果たしてそうなのだろうか?男系のみという伝統と、男女同権という現在の風潮とを天秤にかけて、後者の方に傾いたからこそ、半数以上の国民が女性天皇を支持しているのではないだろうか。まぁ実際のところ、ほとんどの人は「女性」と「女系」の違いもわかっていないで、単に「愛子ちゃんが天皇になってもいいじゃない」くらいの意識なのかもしれないけど。
天皇は日本国の象徴であると同時に、日本国民の財産でもある。なので、天皇がどうあるべきかは当然日本国民の総意に基づいて決定されるものだ。恐らく現実にはありえないことだが、仮に日本国民の大多数が「天皇などいらない」と言えば、当然天皇制そのものがなくなることになる。天皇の存在は「国民の総意」という不確かなものを担保に容認されているという危機感を、忘れてはならないだろう。またこれも当たり前のことだが、日本国民の半数は女性なので、「女性天皇を認めるべきだと思うか?」という質問をすれば半数の賛成を得られるのは当たり前のことであり、それが受け入れられそのように伝統が変えられていくのもまた当然のことなのだ。
天皇は日本国民の財産で、国民の半分は女性で、現在の天皇制は男性優位なように作られていて、これを男女同等なものとして捉えなおすことで皇統断絶の危機まで回避できる。ここまでお膳立てされているのだから、いまさら一部の保守層が反対を叫んだところで、もうこの問題の帰結する先は見えたも同然だろう。当然の流れを理解できず、「マスコミの説明不足だ(もちろんそれもあるにはあるだろうが)」とか「今の日本人は伝統を軽んじすぎている」、「ジェンダーフリー思想は共産主義者が仕組んだ罠だ」なんて言ったところで、多くの人の共感を得られるはずがない。
結局は時代に取り残された人たちが、自分たちの「伝統は何よりも大事にするべき」という価値観が絶対に正しいのだという思い込みを捨てきれず、陰謀論を持ち出してまで孤独に反対を繰り広げているという印象だけが、反対派の意見を聞き終えた僕の中に残ったのだった。

【関連サイト】
中日新聞 - 女性・女系天皇を容認
http://www.chunichi.co.jp/00/sei/20051026/mng_____sei_____000.shtml
Irregular Expression: 熱くなれない皇室典範問題
http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200511091839.html
カクレマショウ:「皇帝」と「国王」
http://blog.goo.ne.jp/yappi27/e/c56dbc94a16040b9a40093bb96cf099f
ぼやきくっくり::「たかじん委員会」是か非か“女性・女系”の天皇
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri/index.php?eid=203
ぼやきくっくり::「ムーブ!」女帝容認論に異議噴出
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri/index.php?eid=208
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